○光市議会議員政治倫理条例

平成18年6月30日

条例第31号

(前文)

地方分権や規制緩和が進展し、地方自治体を取り巻く環境が大きく変動する中、地方議会が持つ本来の役割である市民の意思を代表する機関として、政策を提案するとともに予算や条例等を議決、また市政全般の事務の適正執行を調査、審査し、市民から信頼される議会を目指して、その運営やあり方を検討協議し、多くの改革を断行してきた。

今日、分権型社会の構築や市民参加を促す社会的潮流に呼応して、市民からの一層の信頼と信託を得るためには、さらなる説明責任と情報開示が必要であると認識し、市民の代弁者である議員一人ひとりが応分の責任と倫理、品位と見識をもって政治活動を行うことを決意し、ここに光市議会総意のもとに、この条例を定める。

(目的)

第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その担い手である光市議会議員(以下「議員」という。)が、政治倫理の確立と向上に努め、自己又は特定の者の利益又は不利益を図ることのないよう必要な措置を講ずることにより、市政に対する市民の信頼にこたえ、清潔かつ公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議員の責務)

第2条 議員は、市民全体の代表として、市政にかかわる権能と責務を深く自覚し、次条に規定する政治倫理基準を遵守して活動しなければならない。

2 議員は、自ら研さんを積み、資質を高め、及び品位を保ち、その使命達成に努めなければならない。

3 議員は、自ら公約に掲げた政策の実現に努力するとともに、情報公開の原則に基づき議会及び議員の活動を積極的に市民に明らかにし、その説明責任を果たさなければならない。

4 議員は、政治倫理に反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自らその疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない。

(政治倫理基準)

第3条 議員は、法令を遵守し、何人に対しても、品位と名誉を損なう一切の行為を慎むとともに、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 市が行う許可、認可、指定、行政指導、補助金等の交付の決定又は請負その他の契約に関し、不正な影響力を行使しないこと。

(2) 市が資本金、基本金その他これに準ずるものを出資し、若しくは拠出している公益法人(以下「出資団体」という。)又は地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)が行う許可、認可又は請負その他の契約に関し、不正な影響力を行使しないこと。

(3) 市の職員(会計年度任用職員、臨時的任用職員及び地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第3項第3号に規定する非常勤の嘱託員を含む。以下同じ。)又は出資団体若しくは指定管理者の役職員の採用、昇格、異動等の人事に関し、不正な影響力を行使しないこと。

(4) 市の職員又は出資団体若しくは指定管理者の役職員の公正な職務の執行に関し、不正な影響力を行使しないこと。

(5) セクシャルハラスメント、パワーハラスメント等のハラスメント、差別的な取扱い又は言動、虐待、名誉又は社会的信用を低下させる目的でその者をひぼうし、又は中傷する言動その他人権侵害のおそれのある行為に関し、不正な影響力を行使しないこと。

(6) 発言又は情報発信(議会報告会、チラシ、ウェブサイト等において行うものをいう。)において、他人の名誉を毀損し、又は人格を損なう行為を行わないこと。また、第三者をして同様の行為をさせないこと。

(7) 公費から支給された金品について不正な使用をしないこと。

(兼業の報告義務)

第4条 議員は、議員となった場合において、自ら事業を営んでいるとき、又は次の各号のいずれかに該当する法人その他の団体(出資団体を除く。以下「法人等」という。)の取締役、理事、監査役、監事、顧問若しくはこれらに準ずる職に就いているときは、議員となった日から30日以内に、議長に兼業報告書(以下「報告書」という。)を提出しなければならない。

(1) 主として収益事業を営む法人等

(2) 市の許認可が必要な事業を営む法人等

(3) 市から補助金等を受け、又は受けようとする法人等

2 前項の規定は、議員が新たに自ら事業を営むこととなったとき、又は新たに法人等の取締役、理事、監査役、監事、顧問若しくはこれらに準ずる職に就くこととなったときに準用する。この場合において、同項中「議員となった日」とあるのは、「当該事業を営むこととなった日又は当該職に就くこととなった日」と読み替えるものとする。

3 議員は、前2項の規定により提出した報告書の内容に変更があったとき、又は自ら事業を営むことをやめたとき、若しくは法人等の取締役、理事、監査役、監事、顧問若しくはこれらに準ずる職を離職したときは、遅滞なくその旨を記載した届出書を議長に提出しなければならない。

4 議長は、第1項及び第2項の規定により提出された報告書(前項の規定により届出書が提出された場合は、当該届出書を含む。)を、当該報告書を提出した議員の在任期間中、市民の閲覧に供しなければならない。

5 報告書及び届出書の様式は、議長が別に定める。

(市との契約に関する遵守事項)

第5条 議員、その配偶者若しくは一親等の血族又はこれらの者が実質的に経営に携わる法人(市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資している公益社団法人、公益財団法人、株式会社及び有限会社を除く。)は、地方自治法第92条の2の規定の趣旨を尊重し、市との請負契約等(市が締結する工事、製造その他の請負契約、業務の委託契約、物品の購入契約及び賃貸借契約をいう。)を辞退するよう努めるものとする。ただし、災害発生時等、緊急その他やむを得ない事情があると認められるときは、この限りでない。

(誓約書の提出義務)

第6条 議員は、この条例を遵守する旨の誓約を行うものとし、議員となった日から30日以内に、誓約書を議長に提出しなければならない。なお、政治倫理に関する研修を速やかに受けるものとする。

(調査請求権)

第7条 市民又は議員は、議員が政治倫理基準に違反する行為をした疑いがあると認められるときは、これを証する資料を添えて、市民にあっては地方自治法第74条第5項に規定する選挙権を有する者の100人以上の者の連署をもって、議員にあっては議員定数の8分の1以上の者の連署をもって、議長に対し政治倫理基準に違反する行為の存否の調査(以下「調査」という。)を請求することができる。ただし、議員が第3条第5号及び第6号に基づく調査を請求する場合は、光市議会ハラスメント防止要綱(令和5年光市議会告示第1号)に基づく措置を講じた後でなければならない。

2 前項に規定する調査請求は、当該請求に係る行為のあった日から起算して2年以内に行わなければならない。ただし、議長が特別な事情があると認めるときは、この限りでない。

(審査会の設置等)

第8条 議長は、調査の請求を受けたとき、又は必要があると認めるときは、速やかに議会運営委員会に報告し、光市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。

2 審査会は、委員8人以内をもって組織する。

3 審査会の委員は、議員のうちから議長が指名する。

4 審査会の委員の任期は、議長に対し付託された事案の審査結果の報告を終了したときまでとする。ただし、議員の職を失ったときは、その任期を終了するものとする。

5 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

6 審査会の委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。

(政治倫理基準違反の審査等)

第9条 審査会は、議長から審査を付託されたときは、調査の請求の適否及び政治倫理基準違反の存否について審査する。

2 審査会は、前項の審査を行うため、審査の請求の対象とされた議員(以下「被請求議員」という。)又は関係人に対し事情聴取等必要な調査を行うことができる。

3 審査会は、審査にあたり、原則として市民、学識経験者等からの意見を求めるものとする。

4 審査会の会議は、公開するものとする。ただし、出席委員の3分の2以上の合意により非公開とすることができる。

5 審査会は、審査結果を議長に報告しなければならない。この場合において、審査会は、当該被請求議員が政治倫理基準に違反すると認めるときは、理由を付した文書をもって、必要と認める措置を勧告することができる。

6 議長は、前項の規定による報告を受けたときは、その概要を速やかに公表しなければならない。

(議員の協力義務及び弁明)

第10条 被請求議員は、審査会から審査に必要な資料の提出又は審査会への出席を求められたときは、それに従わなければならない。

2 審査会は、被請求議員が審査に協力しないとき、又は虚偽の報告等をしたときは、その旨を公表するものとする。

3 被請求議員は、審査会において口頭又は書面により弁明することができる。

4 被請求議員は、審査結果について、通知のあった日から30日以内に議長に対し弁明書を提出することができる。

5 前項の規定により弁明書が提出されたときは、議長は、当該弁明書の全文又はその概要を公表しなければならない。

(議員及び議会の措置)

第11条 被請求議員は、自己に関する審査会の審査結果の報告において、自己の行為が政治倫理基準に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、政治倫理の確保のために必要な措置を講じなければならない。

2 議会は、被請求議員が前項の措置を自ら講じないときは、議会の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、必要な措置を講じるものとする。

3 議会は、被請求議員が第3条の規定に反する事実がなかったと認められる場合で、被請求議員の名誉を回復する必要があると認めるときは、所要の措置を講じるものとする。

(議長の職務の代行)

第12条 議長が被請求議員となったときは副議長が、議長及び副議長がともに被請求議員となったときは議会運営委員会委員長、議会運営委員会副委員長、年長議員の順で、この条例の規定による議長の職務を行うものとする。

(委任)

第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年10月1日から施行する。

(経過措置)

2 第5条の規定は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前になされた議員の行為については、適用しない。

3 施行日において議員である者に対する第6条の規定の適用については、同条中「議員となった日」とあるのは「この条例の施行の日」とする。

4 施行日において、議員が現に自ら事業を営んでいるとき、又は法人等の取締役、理事、監査役、監事、顧問若しくはこれらに準ずる職に就いているときは、施行日に新たに自ら事業を営むこととなり、又は法人等の取締役、理事、監査役、監事、顧問若しくはこれらに準ずる職に就くこととなったとみなして、第4条第2項の規定を準用する。

(平成20年条例第41号)

この条例は、公布の日から施行する。

(令和2年条例第13号)

この条例は、令和2年4月1日から施行する。

(令和3年条例第31号)

(施行期日)

1 この条例は、令和4年4月1日から施行する。

(経過措置)

2 改正後の第3条の規定は、この条例の施行の日前になされた議員の行為については、適用しない。

(令和5年条例第21号)

(施行期日)

1 この条例は、令和5年12月1日から施行する。

(経過措置)

2 改正後の第3条の規定は、この条例の施行の日前になされた議員の行為については、適用しない。

光市議会議員政治倫理条例

平成18年6月30日 条例第31号

(令和5年12月1日施行)