○光市景観条例

平成22年3月29日

条例第25号

私たちのまち光市は、白砂青松の室積・虹ケ浜海岸、清らかな流れの島田川、なだらかな曲線を描く象鼻ヶ岬、幽玄な石城山など水や緑豊かな美しい自然景観と四季折々の心和む風景に恵まれたまちである。

私たちは、古来育まれてきた自然景観を礎とし、地域の歴史や風土、文化的環境に根ざした町並みや農漁村など、多彩な風景を創出しながら、まちを発展させてきた。

一方、社会経済の発展や建設技術の進歩等により、快適で機能的な都市の形成が進んだが、経済性や効率性、利便性を重視した結果、美しさへの配慮や周辺との調和を欠いた景観や無個性で画一的な景観が見られるようになった。

一度失われた地域の景観を復元することは困難であり、経済的な損失だけでなく社会的な損失を伴うことが多い。そのような状況にならないために、私たちは、先人から受け継いだ豊かな景観を守り、次世代に継承していかなければならない。

このような認識のもと、私たち一人ひとりの参画と協働により、光市のかけがえのない自然景観を守り、これらと調和した魅力あふれる景観を創造し、誇りと愛着をもってふるさと光市を子や孫の世代に引き継ぐことを決意し、この条例を定める。

(目的)

第1条 この条例は、良好な景観の形成について基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、良好な景観の形成に関する施策の基本となる事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって魅力的なまちづくりを推進することを目的とする。

(基本理念)

第2条 良好な景観は、美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠なものであることにかんがみ、市民共通の資産として、現在及び将来の市民がその恵沢を享受できるよう、持続的にその整備及び保全が図られなければならない。

2 良好な景観は、地域の自然、歴史、文化等と人々の生活、経済活動等との調和により形成されるものであることにかんがみ、適正な制限の下にこれらが調和した土地利用がなされること等を通じて、その整備及び保全が図られなければならない。

3 良好な景観は、地域住民の意向を踏まえ、それぞれの地域の個性及び特色の伸長に資するよう、その多様な形成が図られなければならない。この場合において、良好な景観が市民共通の資産であることにかんがみ、地域住民のみならず、良好な景観の形成について関心を有するすべての者の意見を併せ考慮させなければならない。

4 良好な景観は、観光その他の地域間の交流の促進に大きな役割を担うものであることにかんがみ、地域の活性化に資するよう、市、市民、事業者その他景観の形成に参加しようとするすべての者により、その形成に向けて一体的な取組がなされなければならない。

5 良好な景観の形成は、現にある良好な景観を保全することのみならず、新たに良好な景観を創出することを含むものであることを旨として、行われなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な景観の形成に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、良好な景観の形成に関する啓発、知識の普及等を通じて、基本理念に対する市民の理解を深めるよう努めなければならない。

(市民の責務)

第4条 市民は、基本理念にのっとり、良好な景観の形成に関する理解を深め、良好な景観の形成に積極的な役割を果たすよう努めるとともに、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、基本理念にのっとり、土地の利用等の事業活動に関し、良好な景観の形成に自ら努めるとともに、市が実施する良好な景観の形成に関する施策に協力しなければならない。

(景観計画)

第6条 市長は、景観法(平成16年法律第110号)第8条第1項に規定する良好な景観の形成に関する計画(以下「景観計画」という。)を策定しなければならない。

2 景観計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。

(1) 景観計画の区域(以下「景観計画区域」という。)

(2) 景観計画区域における良好な景観の形成に関する方針

(3) 良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項

(4) その他良好な景観の形成のために必要な事項

3 市長は、景観計画を策定しようとするときは、あらかじめ、光市都市計画審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、景観計画を策定しようとするときは、あらかじめ、市民、事業者及び市民団体(以下「市民等」という。)の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

5 市長は、景観計画を策定したときは、その旨を告示するとともに、公衆の縦覧に供しなければならない。

6 第2項から前項までの規定は、景観計画の変更について準用する。

(景観まちづくり教育及び景観まちづくり学習の推進)

第7条 市は、良好な景観の形成に関する市民等の理解と認識を深め、魅力的なまちづくりを推進するため、景観まちづくりに関する教育及び景観まちづくりに関する学習を推進するよう努めるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第8条 市は、市民等が行う良好な景観の形成に関する自発的な活動が促進されるために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(情報の提供)

第9条 市は、景観まちづくり教育及び景観まちづくり学習の推進並びに市民等が行う良好な景観の形成に関する自発的な活動の促進に資するため、良好な景観の形成に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(市民等からの提言)

第10条 市民等は、良好な景観の形成に関する施策について、市長に提言をすることができる。

2 市長は、前項の提言を受けたときは、必要な措置を講じるとともに、当該提言をした市民等にその対応状況を報告するものとする。

(推進体制の整備)

第11条 市は、良好な景観の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。

(市民等との協働)

第12条 市は、良好な景観の形成に関する施策を展開するため、市民等との協働を積極的に推進するものとする。

この条例は、平成22年4月1日から施行する。

光市景観条例

平成22年3月29日 条例第25号

(平成22年4月1日施行)