○光市環境基本条例

平成19年3月29日

条例第33号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第6条)

第2章 環境の保全等に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針(第7条)

第2節 環境基本計画(第8条―第11条)

第3章 環境の保全等を推進するための施策

第1節 地域環境保全の推進等(第12条―第21条)

第2節 地球環境保全の推進(第22条)

第4章 施策の推進体制の整備等(第23条・第24条) 

第5章 雑則(第25条)

附則

私たちのまち光市は、白砂青松の室積・虹ケ浜海岸、清らかな流れの島田川、緑豊かな峨嵋山樹林・石城山などの美しい自然に囲まれた都市である。

私たちは、恵まれた自然環境の恩恵を受けるとともに、古来、先人の努力により守られてきた森・川・海の調和に富んだ自然を活かした文化と産業を受け継ぎ、まちを発展させてきた。

今日、飛躍的に発達した科学技術と社会経済活動に伴い、私たちの生活は物質的に豊かで便利になったが、日常生活や事業活動から生じる環境への負荷は増大し、地域だけでなく、地球環境にまで影響を与えるようになった。

限りある地球環境にかけられる負荷には限界があり、環境問題の解決のためには、社会の在り方そのものを見直さなければならない。今こそ私たちは、自然を敬愛し、自然と人との共生を図り、将来の世代に良好な環境を引き継ぐため、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会を構築していかなければならない。

このような認識のもと、光市民憲章の精神にのっとり、市、市民及び事業者が一体となって互いの協働により、光市及び地球の環境の保全、創造及び再生を推進し、潤いとやすらぎに満ちた環境自治体「光市」を実現するため、この条例を定める。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全、創造及び再生(以下「環境の保全等」という。)について基本理念を定め、市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、環境の保全等に関する施策の基本事項を定めることにより、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の良好な環境及び市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(4) 文化環境 歴史的伝統的建造物、文化的遺産、町並景観等を含む空間をいう。

(5) 原生自然環境保全地域 自然環境が人の活動によって影響を受けることなく、原生の状態が維持されており、かつ、自然の法則と教訓を後世に残すべき貴重な資産であると認められる地域をいう。

(6) 自然環境保全地域 自然環境が豊かに残されている区域の中から、森林、渓谷等で良好な自然環境を形成している地域をいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全等は、自然の復元力に限界があることを認識し、自然と人との共生を目指して行わなければならない。

2 環境の保全等は、健全で恵み豊かな環境がすべての市民の健康で文化的な生活に必要不可欠であることを認識し、良好な環境を将来の世代へ継承していくことを目的として行わなければならない。

3 環境の保全等は、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の実現を目指して市、市民及び事業者がそれぞれの責務に応じた役割分担と参加、協働のもと、自主的かつ積極的に行わなければならない。

4 地球環境保全は、地域の環境が地球全体の環境に深くかかわっていることにかんがみ、事業活動、日常生活等のすべてにおいて、着実かつ積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、自らが策定し、実施するすべての施策について、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、良好な環境の保全等を図ることを基本として、総合的かつ計画的に推進する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活において、廃棄物の削減、生活排水の改善、省エネルギー等環境の保全等に積極的に取り組み、環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

2 市民は、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。

3 通勤、通学、観光等で光市に滞在する者は、前2項に定める市民の責務に準じて環境の保全等に努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生じるばい煙、汚水その他の公害の発生の防止及び廃棄物の適正な処理のために必要な措置を講じる責務を有する。

2 事業者は、前項に定めるもののほか、省資源、省エネルギー、廃棄物の減量等その事業活動全般にわたり、環境の保全等に積極的に取り組み、環境への負荷を低減するよう努めなければならない。

3 事業者は、市が実施する環境の保全等に関する施策に協力する責務を有する。

第2章 環境の保全等に関する基本的施策

第1節 施策の基本方針

(基本方針)

第7条 環境の保全等に関する施策の策定及び実施は、基本理念にのっとり、次に掲げる施策の基本方針に基づき、総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 公害を防止し、大気環境、水環境、土壌環境、音環境等を将来にわたって良好な状態に保持することにより、市民の健康を保護し、安全かつ快適な生活環境を確保すること。

(2) 生態系の多様性の確保、野生生物の種の保存その他の生物の多様性の確保を図るとともに、自然環境を人とのつながりの中で体系的に保全すること。

(3) 森、川、海等の身近な環境を良好に保全することにより、自然と人との多様で豊かなふれあいの空間を創出すること。

(4) 文化環境を人とのつながりの中で保存し、及び保全すること。

(5) 資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の減量等を推進することにより、環境への負荷の少ない事業活動及び日常生活に転換すること。

(6) 環境の保全等が市、市民及び事業者の公平な役割分担と協働のもと実施されるよう、すべての主体の自主的な参加を促進すること。

第2節 環境基本計画

(環境基本計画)

第8条 市長は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、環境の保全等に関する基本的な計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全等に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全等に関する施策を体系的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、光市環境審議会(以下「環境審議会」という。)の意見を聴くとともに、市民、市民団体及び事業者(以下「市民等」という。)の意見を反映できるよう必要な措置を講じなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

6 市長は、環境基本計画の進捗状況等について、環境審議会に報告し、意見を聴かなければならない。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第9条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図る等環境の保全について配慮するものとする。

(市民等の意見の反映)

第10条 市は、環境の保全等に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、市民等の意見を反映させるよう努めるものとする。

(報告書の作成)

第11条 市長は、市の環境の現状及び環境の保全等に関する施策の実施状況について報告書を作成し、公表するものとする。

第3章 環境の保全等を推進するための施策

第1節 地域環境保全の推進等

(自然の環境の保全等)

第12条 市は、森、川、海等自然の環境の保全等に必要な措置を講じるよう努めるものとする。

2 市は、多様な野生生物の生育・生息地の保護等に必要な措置を講じるよう努めるものとする。

3 市は、自然環境の保全を図るため特に必要があると認めるときは、法律その他の法令等に定めがあるものを除き、その所有者又は管理者(以下「所有者等」という。)の同意を得て、原生自然環境保全地域及び自然環境保全地域(以下「環境保全地域」という。)を指定することができる。

4 市は、前項の規定により指定された環境保全地域の保全に必要があると認めるときは、予算の範囲内において所有者等に補助金の交付その他の援助をすることができる。

(環境教育及び環境学習の推進)

第13条 市は、環境の保全等に対する市民等の理解と認識を深め、環境保全活動につなげるため、環境教育及び環境学習を推進するよう努めるものとする。

(市民等の自発的な活動の促進)

第14条 市は、市民等の環境の保全等に関する自発的な活動が促進されるために必要な措置を講じるよう努めるものとする。

(環境情報の提供)

第15条 市は、環境教育及び環境学習の推進並びに市民等の自発的な環境の保全等に関する活動の促進に資するため、環境の保全等に関する必要な情報を適切に提供するよう努めるものとする。

(規制等の措置)

第16条 市は、公害の防止のため、その原因となる行為に関し、必要な規制等の措置を講じるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制等の措置を講じるよう努めるものとする。

(事業者との協定等)

第17条 市長は、事業活動に伴う環境への負荷の低減を図るため特に必要があると認めるときは、事業者と環境への負荷の低減に関する協定等を締結することができる。

(市民等からの提言)

第18条 市民等は、環境の保全等に関し、市長に提言することができる。

2 市長は、前項の提言を受けたときは、必要な措置を講じるとともに、提言を行った市民等にその対応状況を報告するものとする。

(環境の保全等に資する公共的施設の整備)

第19条 市は、下水道施設、廃棄物処理施設、公園、緑地その他の環境の保全等に資する公共的施設の整備を推進するために必要な措置を講じるものとする。

(環境への負荷の低減の促進)

第20条 市は、環境への負荷の低減を図るため、資源及びエネルギーの有効利用、廃棄物の減量等が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する製品、原材料、役務等の利用が促進されるよう必要な措置を講じるものとする。

(監視等の体制の整備)

第21条 市は、環境の状況を把握し、環境の保全等に関する施策を適正に実施するために必要な監視、測定等の体制の整備に努めるものとする。

第2節 地球環境保全の推進

(地球環境保全の推進)

第22条 市は、地球温暖化の防止、オゾン層の保護その他の地球環境保全に資する施策を推進するものとする。

2 市は、国、他の地方公共団体、民間団体等と協力して、環境の保全等に関する調査、研究、情報提供、技術協力等を行うことにより、地球環境保全に関する広域的な連携による取組の推進に努めるものとする。

第4章 施策の推進体制の整備等

(推進体制の整備)

第23条 市は、環境の保全等に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、必要な体制を整備するものとする。

(市民等との協働)

第24条 市は、環境の保全等に関する施策を展開するため、市民等との協働を積極的に推進するものとする。

第5章 雑則

(委任)

第25条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。

(光市の環境をよくする条例の廃止)

2 光市の環境をよくする条例(平成8年光市条例第1号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の日の前日までに、光市の環境をよくする条例の規定に基づきなされた手続その他の行為は、この条例中これに相当する規定がある場合には、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

光市環境基本条例

平成19年3月29日 条例第33号

(平成19年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章 環境保全
沿革情報
平成19年3月29日 条例第33号